宮本昌幸『図解 鉄道の科学』(ブルーバックス)

こちらのBlogでは、科学系に属する書物の紹介を行う。

今回紹介する書物は『鉄道の科学』と言う書物である。元々はブルーバックスから同名の書物が1980年に出版されていたが、技術の進展もあり、装いも新たに出版したのが本書である。

元々電車は嫌いではなく、気になればニュースやネット記事を閲覧していたが、ちゃんとした鉄道知識は持っていなかった。その為、基礎知識の習得を意図して本書を購入した。

しかし流石はブルーバックス。数式こそ出ていないが、題名の通り科学、と言うよりも物理学の用語が頻出する。高校卒業程度の基礎的な力学及び電磁気学を習ったことがなければ、少々読み通すのは厳しいかも知れない。私は大学生の初学年で力学と電磁気学を履修した程度だが、昔の記憶を辿りながら読み通した次第である。

また、元々国鉄の鉄道技術研究所で勤務して技術研究開発に従事していた経緯から、基本的にJR関係の記述である。私鉄がどのような歩みを見せていたのか、という事については他書に因らねばならぬ。購入を検討されている方は注意されたい。

本書で解説されているところは非常に基礎的で地味である。敷設しているレール、車両のハンドル操作、ブレーキング、架線、走行原理等々。例えば電車の走行はモーターの出力だけではなく、車輪とレールの粘着力に左右される為、モーターのみの改良では速度向上は望めない。またJRは過去の「駅600m手前でブレーキングすること」という規則に基づいて各設備が整備されている為、その規則が改正された現在も当時の設備の為に最高速度制限増加の足枷になっていること。他にも地味ながら走行性、安全性、快適性向上の為に絶えず技術改良を繰り返してきた歴史が窺える。

思わず鉄道の架線一つを眺めても、「此処にあの技術が使われているんだな~」等と楽しめるようになる一冊である。多少の技術的な用語を厭わぬ方には強くお勧めしたい。

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