小島晋治、丸山松幸『中国近現代史』(岩波新書)

中国近現代史 (岩波新書)

中国近現代史 (岩波新書)

1986年出版の中国近現代史を取り扱った書物。本書の定義する近代は、清とイギリスが干戈を交えたアヘン戦争終結以後を指している。

アヘン戦争の前段として、官僚や郷紳による農民からの搾取によって全土で民衆反乱が勃発し、その鎮圧のために国庫を空にしてしまったところから話が開始される。以後、アヘン戦争の敗北とそれ以後の動き、日清戦争、辛亥革命、国共合作、抗日民族統一戦線、日中戦争、中華人民共和国成立、文化大革命に至るまで要点を押さえながら288ページでその全容を解説する。かなり圧縮されているため、読むと大変に疲れる印象である。

個人的に気になった点は孫文や蒋介石も当時のソ連と関係を持っていたことだろう。特にスターリンは中国共産党よりも蒋介石率いる国民党の方を信頼・支援していた点である。また、毛沢東はソ連留学組の意見を「中国の現実を踏まえていない」と批判し、「遊撃戦論」とも称される戦術で日本軍や戦後の国共武力衝突時の戦略戦術を上手く展開させている。一方で毛沢東は統一後、国内政策においてはだいぶ理論に偏重して現実問題と対策が乖離していたように思う。

基本的に論述の軸足は中国国内事情に置かれている。その為、日本や欧米視点では見えてこない事情も見えてくるので有意味だと思う。参考にした資料は省略されているため不明だが、恐らくは中国側の資料も少なからずあるだろう。一方で日中の近現代史は歴史問題で色々議論される側面もあるので、本書の記述だけを是として鵜呑みするのは避けた方が良く、他書と比較しながら読むのが望ましい。

良くも悪くも出版当時の雰囲気が出ている一冊である。また、全体的に権力者(機構)に反発・対抗する一般庶民という構図が多いように思えるが、これは本当にそうだったのか、それとも出版当時の記述スタイルがそういう感じなのか、その辺は機会があれば他書で検証をしたいところである。

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