リンダ・ヤーコブソン、ディーン・ノックス『中国の新しい対外政策』(岩波現代文庫)

ストックホルム国際平和研究所から2010年に発表された中国に関する報告書の翻訳。現代中国が対外政策に関して意志決定を行う際、如何なるアクターが関与しているのか詳述している。

商務部は中国の繁栄を推進し、解放軍は中国の主権を守り、石油会社は中国のエネルギー安全保障を確保し、地方政府は地域住民の生活水準を向上させ、ネチズンは中国の威信を高める(p.93)

中国は党指導部が独裁的なトップダウンであらゆる政策決定をしているわけではなく、時には専門家の意見を聞きながら、上述のようなアクターに翻弄されつつ対外政策を決めている。アクターの合意形成を第一に重んずる、という点に関しては非常に日本と類似しているような印象を受ける。また、時には党指導部の知らないところで事態が展開する、いわば「満州事変モデル」とも説明される現場の独断行動も起こる。党指導部は必ずしもすべてを把握しているわけではない。

今後の中国に関するニュースに接する際は、如何なるアクターがその政策決定に関与しているのか、そしてどこまで党指導部がコントロールできているのかを考慮していきたい。