マルクス『資本論』メモ

日経BPのマルクス『資本論 第一巻1』を読んでの覚え書き。主に第一章。

マルクスは価値の根本に労働を置いている。その商品を生み出すのに使用した労働力が、その商品の価値となる。マルクスはどの労働者も同じ生産性で作り出した価値が同じであると論述する。

第一章を読む限り、マルクスには人間の価値が平等であるとの思想がある。また前提となっているのは第一次、第二次産業。人間がある一定の環境下で決まり切った生産行動をして生み出す商品を考慮に置いている。しかし、サービス産業などの第三次産業はどうなのか。頭脳労働はどうか。抽象化された人間性ではなくて、具体的な個性を持った人間が意味を持つのではないか。マルクスの『資本論』もまた、時代の産物であろうか。

以降、こういった疑問点を念頭に置きながら読み進めることにする。

王仲牽『金泥玉屑叢考』(中華書局)

f:id:tokumoto-shokai:20120208010300j:image:w360:leftこの『金泥玉屑叢考』は先秦~宋(趙氏)に至までの主要物資の貨幣価値に関して史書などから抜き書きし、ひたすら列挙・分類した代物。ひたすらデータを列挙しているので、通読して面白い代物ではない。何か気になったデータを参照する際に便利。

所謂二次文献の類なので、参照する際には引用元に当たって確認するなどの慎重さはあって良いかもしれない。

アダム・スミス『国富論(上)』(日本経済新聞社出版局)

上下2巻に分かれているうちの上巻は、主として基本的な経済理論を取り扱う。所謂「神の見えざる手」と呼ばれる需給関係や、商品の価値についての概念、資本蓄積による社会の発展がメイン。これまでの欧州の歴史を振り返って実例を提示しつつ、経済の仕組みを解説している。基本的には社会に出ていれば凡そ実感することで、この理論を学ぶこと自体に大きな奇異は感じないように思う。例えば需要が供給を上回れば商品価格が上昇し、逆の場合は減少する。商品の交換には経年劣化を起こしにくい硬貨、特に金貨や銀貨が用いられる。大規模な資金のやりとりを円滑に進めるため、銀行は兌換紙幣を発行する。等々。

この『国富論』は文章のみでグラフ等は殆ど出てこないが、実際に内容を理解するためには具体的な数字を追い、紙と鉛筆、又は電卓を片手に考えた方が良いように思う。漠然と文章を追っていくだけでは理解したつもりになるだけで、商品の交換や貿易や利子率による資本の変化などは理解しづらいかも知れない。何かこの『国富論』をサポートする副読本を読むと更なる理解に寄与するだろう。それが何であるかは、今はまだよくわからない。経済の教科書か?とにかく、今回はこの上巻を仕事を終えた後で一気に読み進めたため、現段階では完全な理解とは言えない。このあたりは後日、改めて読み返したい。

今後、中国史を読む上で参考にしておかねばならないのは、中国が伝統的に採用してきた重農主義がもたらす社会発展の度合いである。この重農主義や重商主義については下巻の方に詳しく紹介されている。アダム・スミスの説いたモデルに沿ってむりやり中国の経済状況を説明しよう、等という愚を犯すつもりはない。ただ、未開拓の大地を開墾しながら発展してきた六朝時代を理解するには、この『国富論』で説かれるモデルもまた参考になるのではないか。その辺を少し期待しつつ、下巻を読み進めていきたい。